人工透析患者は、ビタミン剤等サプリメントを服用しても問題ないですか?
食事さえ適正にきちんと摂っていれば、基本的にビタミン剤を補充する必要はないと思います。しかしながら、低リン・低カリウム食に伴うビタミン摂取低下やハイパーフォーマンス膜による透析によって水溶性ビタミンが抜けるということも考えられます。
近年透析患者に「カルニチン」欠乏が指摘されており、「L-カルニチン(アミノ酸の一種で脂肪の燃焼が促進される)」の補充により、エリスロポエチン不応性貧血や心筋障害に対して効果があることや透析後の倦怠感、下肢の痙攣等を抑えられることが報告されています。
また、必須アミノ酸の一種である「メオチニン」が代謝される際に一時的に動脈硬化や心筋梗塞のリスクファクターとの報告もある「ホモシステイン(高ホモシステイン血症については、このページ一番下<参考>参照)」という物質ができます。この物質は、肝臓でビタミンB6・B12・葉酸の働きで、元の「メオチニン」に代謝されますが、ビタミンB6・B12・葉酸が欠乏すると、「ホモシステイン」が上昇します。
従って、「L-カルニチン」「ビタミンB6」「葉酸」をサプリメントを使うなどして補充することは問題ないと思われます。「ビタミンB6」以外のビタミンB群(B1・B2・B12)も、比較的安全に摂ることができます。例えば、「葉酸」を補うお薬としては「フォリアミン」等があります。
逆に、補充してはいけないビタミンは、蓄積する傾向にある脂溶性の「ビタミンA」です。「ビタミンA」が蓄積すると現れる「ビタミンA」過剰症状には、「神経過敏」「頭痛」「食欲不振」「掻痒感」等があります。
「ビタミンC」は、水溶性でも代謝される過程でシュウ酸ができ過剰に補充すると「高シュウ酸血症」となるので控えた方が良いという考え方と、最近では「ビタミンC」はエリスロポエチン使用時の鉄の利用を促進するという報告が増えつつあり、透析患者では健常者に比べ「ビタミンC」摂取量が少なく、酸化ストレスによって「ビタミンC」の消費は増大しており、透析によっても除去されやすいため、むしろ積極的に「ビタミンC」は投与した方が良いという考え方もあります。最近では、後者の方が主流になりつつあります。(健常人<成人>の1日の必要「ビタミンC」は「100mg」。透析患者の場合の推奨摂取量は「60mg/日」、多くのサプリメントの推奨用量である1日約1000mgは過量と思われます。)
尚、「ビタミンE」は、同じ脂溶性のビタミンでも「ビタミンA」と違って蓄積による害はないようです。(私も「ビタミンE」は処方してもらって服用しています。)
「ビタミンD」と「ビタミンK」は、透析で処方される薬の中に入っていることが多いですから、サプリメントによる補充は基本的に必要ありません。
その他上記ビタミン等以外では、いわゆる「健康食品」等々はリンやカリウムが多いものがよくみられますので、これらの食品の摂取は避ける方がよいと思います。
いずれにしても、ビタミン剤などのサプリメントや健康食品を利用する場合は、インチキくさいものもありますので、主治医の先生や栄養士さんとよく相談・確認することが重要です。
厚生労働省では、健康食品・サプリメントによる健康被害の防止等を目的とし、氾濫する健康食品・サプリメントに関する情報を収集し、ホームページで紹介しています。健康食品・サプリメントに関する制度の説明や、医薬品を添加するなど危険な健康食品・サプリメントの事例が紹介されています。また、独立行政法人国立健康・栄養研究所ホームページの「健康食品」の安全性・有効性情報のページでは、健康食品・サプリメントの素材についての情報が検索できるページがあり、これらは正しい情報として有用ですので、それぞれのホームページを次に紹介しておきましょう。
①厚生労働省ホームページ該当ページ
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/hokenkinou/index.html
②独立行政法人国立健康・栄養研究所ホームページ
(健康食品等の安全性・有効性情報等)
http://www.nih.go.jp/eiken/
それから、本Q&Aの関連書籍1冊を紹介しておきましょう。
・「腎不全と健康食品・サプリメント・OTC薬(一般用医薬品)」
平田純生、藤田みのり編著・南江堂(2006・7・10発行)
(上記Q&Aは、「愛腎協HP」Q&Aから提供して頂いたものがベースとなっています。)
尚、最後におあつらえむきな透析患者の栄養ドリンク2点を紹介しておきましょう。これは、L-カルニチン・ビタミンB群等を配合した透析専門医も薦める栄養補助食品(医薬部外品・健康保険非適用)です。それと3点目として、純度100% L-カルニチン(錠剤)も紹介しておきましょう。
①商品名「エルピス」:L-カル二チン270mg含有・50ml
(詳細http://www12.ocn.ne.jp/~elpis/参照)
尚、「エルピス」に不足する水に溶けにくい栄養成分、コエン
ザイムQ10、リコピン等が配合されている「コエンザイム粒 (1粒40
0mg)」もあります。
②商品名「カルフェロマルチ20」:L-カル二チン350mg含有・20ml
(詳細http://www.rakuten.co.jp/beta/583833/515372/参照)
尚、L-カル二チンにコエンザイムQ10、必須アミノ酸、亜鉛などの栄
養素が加わった「カルフェロスーパー30」もあります。
(詳細http://www.rakuten.co.jp/beta/583833/833285/参照)
また、食欲がない人でもおいしく飲める・糖尿病透析患者に配慮した糖類
0の新製品「カルフェロEX」が09年9月1日に発売されています。
(詳細http://item.rakuten.co.jp/beta/fn100/参照)
③商品名「液状カル二チン含有カプセル」1粒中:L-カルニチン
500mg含有
(詳細http://item.rakuten.co.jp/speed/743/参照)
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2010年01月19日 コメント&トラックバック(0) | トラックバックURL |
カテゴリ: 人工透析患者の薬・サプリメント
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