人工透析患者とうつ、そして治療意欲喪失・死亡
読売新聞に、透析患者のうつ状況からの、治療中止による死亡の記事があった。
「人工透析を中止すると、5~8日ほどで死に至る。その透析中止は、米国では少なからず行われ ている。」
「米国では、年間約6万5000人の透析患者が死亡するが、うち1万人以上は透析の中止が原因 だ。死につながる「治療の中止」は、「患者の自己決定法」などの法律で患者の権利として保障され 、事前に文書で意思表示しておくことも推奨されている。」
「精神科医で透析患者の心の問題を研究してきた松江青葉クリニック(島根県)院長の春木繁一さ ん(65)は「本人の意思に基づく米国式の透析中止を、安易に日本で導入することには問題がある 」と言う。
米国では、治療中止を意思表示する際、気分が沈み込み、うつ状態になった患者は除外すること になっているが、日本では透析患者が持つ精神的な問題に対する診療は、ほとんど行われていないか らだ。」
「「なぜ治らないのか」。春木さんによると、透析を始めた患者は、前向きな気持ちで治療を受け られるようになるまで、かなりの期間、うつ状態に陥りやすい。
心理的うつに加え、腎機能が落ち、毒素や老廃物が体外に排出されずに血液中にたまる尿毒症など でも、うつ症状が出ることがある。高齢の透析患者によく見られる合併症で、抗うつ剤を使っても 効果がない。 時間をかけて透析を行い、血液中の毒素を十分取り除くと、うつ状態が改善することがある。
春木さんは、透析医と連携し、透析の時間や回数を調整する一方、患者の不安や悲しみに耳を傾け るなど面接を重ねる。その結果、うつ状態が治まり、「透析をやめたい」と言っていた患者が治療を 積極的に受けようと思い直す例を何度も見てきた。「心と体の両面から、うつの治療を行う姿勢が大 切」と語る。」
「死に直面する不安や恐れは、年齢を重ねても変わらないと思う。透析を中止したいかどうかを問 う前に、まず患者の思いに耳を傾ける姿勢が必要」と春木さんは話している。」(2006年6月30日 読売新聞)
「人工透析は、週2~3回、1回数時間も管につながれ、体から血液を抜いては戻す治療が生涯続 く。」という。過酷なストレスが生涯、持続する。一般的に、うつになると、種々の意欲がなくなり 、治療意欲もなくなり、生きる意欲もなくなることがある。まだしも、何か解決が見込まれるかもし れない。
だが、透析患者は、治らない。透析をやめれば、死ぬ。週2~3回、透析を行なう病院に行かなけ れば死ぬ。透析を継続する意欲と死がまじかに接近している。こんなに「意欲」ということが、死に 直結する病気がある。
不安、意欲喪失にかかわる、私どもの心理療法(マインドフルネス、アクセプタンス)が、こうし た患者にどれほど効果があるかは、わかっていないが、試行していただきたいと思う。
2010年01月12日 コメント&トラックバック(0) | トラックバックURL |
カテゴリ: うつ病 慢性腎不全・人工透析
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