箱庭による自己表現
特に、12歳未満の児童期~12歳から17歳の思春期におけるうつ病の治療法として、薬物療法と並んで注目されているのが、箱庭療法と遊戯療法です。そもそも箱庭療法はうつ病体験を言語化することが困難、あるいは発達段階によっては不可能な子どもを対象としたものでしたが、現在では成人の精神病治療にも広く活用されています。人は自分の考えや気持ち、状況を言葉で十部に表現することが難しいことがあります。子どもたちの場合は言語表現が未発達ですし、大人といえども、無意識の世界は心の奥に存在しており、自分でも気づいていないことがたくさんあるのです。そのため、言葉以外の方法、たとえば絵画、箱庭、粘土、遊戯などを通してそのような無意識の世界を表現することが重要とされ、また治療効果が期待されているのです。
非言語的自己表現を主とする日本において、表現療法としての箱庭療法は特にその価値が重要であると思われます。統合失調症の治療で著名な精神科医である中井久夫は、日本独自の風景構成法を考案しました。彼は、日本に箱庭療法を紹介した河合隼雄の発表を聞き、箱庭に用いられている枠に着目しました。箱庭療法に用いられているのは、縦57cm×横72cm×高さ7cmの箱です。中井はこの高さ7cmの枠があることの重要性に注目したのです。箱庭には「枠」があるがゆえに、患者は自己表現が可能であり、それゆえに治療効果があるとしたのです。
中井の風景構成法とは、紙の縁を枠と考え、治療者が枠を手書きで描くというもので、彼はこの方法の「枠付け法」に箱庭療法を応用したのです。
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2010年01月14日 | コメント&トラックバック(0) | トラックバックURL |
カテゴリ: うつ病
治療の選択
かつてうつ病の治療といえば、電気けいれん療法しかその効果が証明される治療法はありませんでした。しかし現在では、さまざまな治療法が確立されつつあります。主なものには次のものがあります。
●電気けいれん療法(ECT)
電気けいれん療法というのは、頭皮の上から電流を通電し、人工的にけいれんを起こす事で治療を行うものです。近年、薬物療法が発展し、その効果が認められつつありますが、薬物療法の場合、その効果が現れるまでに1週間から3週間ほど服用を継続する必要があります。また、実際、効果が認められない場合もあります。そのような無効な場合や自殺の危険が切迫している場合などには、即効性のある電気けいれん療法が行われることになります。有効性・安全性ともに高い治療法であることから、保険診療でも認められています。
●経頭蓋磁気刺激(TMS)
経頭蓋磁気刺激は、頭の外側から磁気パルスを当てることで脳内に局所的な電流を生じさせ、脳機能の活性化を図る治療法です。ただし、保険は未承認です。
●薬物療法
臨床的に、うつ病に対する抗うつ薬の有効性は科学的に実証されています。ただし、即効的ではないことから、1週間~3週間の継続的な服用が必要となります。
●認知行動療法
認知行動療法というのは、外界の環境をどのように認識するかによって感情や気分をコントロールしようという治療法です。抑うつ的な気分の背後にある認知のゆがみを自覚し、是正することを目的とします。
●精神療法
いわゆる「カウンセリング」と言われるものです。
その他、実験的段階にあるものや、限定的に行われる治療法として、
●断眠療法
●光療法
●運動療法
●音楽療法
などが行われます。
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