DSM-IV-TRのタグを付けられた記事一覧

気分障害

うつ病は気分障害のひとつに分類される精神疾患です。特徴としては、抑うつ気分や不安・焦燥、精神活動の低下、食欲低下、不眠などがあります。
精神疾患というのは、脳の機能的・器質的な障害によって引き起こされる疾患を言います。重篤なものには統合失調症や躁うつ病、中等症、軽症のものには神経症、パニック障害、適応障害があります。精神的な変調から内分泌疾患などの身体疾患を引き起こすこともあります。
米国精神医学会の診断基準である、DSM-IV-TRでは、うつ病はmajor depression:「大うつ病」と呼ばれています。従来、うつ病は「心(精神)の病」とされてきました。しかし最近の研究から「脳」の疾患であるととらえられ、脳内に不足している脳内物質である、ドーパミン、ノルアドレナリン、セトロニンなどの分泌を促進させることで症状を改善させる、薬物療法が治療の主流を占めるようになってきています。
うつ病の罹患率としては男性よりも女性のほうが罹患しやすいとされています。さほど生活に支障をきたさない程度の軽症のものもある一方で、自殺企図などがみられる重症のものもあります。また、うつ状態を示してはいても、それがうつ病であるとは言い切れないこともあります。一過性の心理的なストレスに起因するものや、統合失調症など他の疾患の症状としてうつ状態を示すもの、あるいは季節的な変化などのうつ状態のうち、うつ病として扱われるためには、「2週間以上にわたり毎日続き、生活の機能障害を呈している」というある程度重度の状態を呈すことが診断の条件とされます。

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うつ病の有病率

アメリカの操作的診断基準である、DSM-IV-TR(精神疾患の分類と診断の手引き)をもちいたうつ病の有病率の研究によると、ある時点で過去1ヶ月間にうつ病と診断可能な状態にあった人の割合は、1.0パーセント~4.9パーセントで、平均して2.8パーセントだったという結果が示されています。また、近年の研究からは、生涯においてうつ病にかかる可能性は15パーセント程度といわれています。さらに日本における調査(2002年)では、1600人の一般人口で面接調査を行った結果、時点有病率は2パーセント、生涯有病率は6.5パーセントといいます。
こうして考えると、ある時点で約50人~35人に一人、生涯にわたっては15人~7人に一人の割合でうつ病にかかる可能性があるということになります。
実際には、うつ病と診断されるほどでもない軽度の状態、あるいは別の疾患である可能性がある状態、として、うつ状態にある人びともいます。たとえば、一過性の心理的なストレスからうつ状態に陥ったり、統合失調症やパニック障害など他の疾患の症状としてうつ状態が見られる場合、さらに季節的に、あるいは生体リズムなど、身体の内部の変調からうつ状態に陥ることもあります。これらの人びとも含めて広く「うつ」を考えると、私たちの周りにはかなりの割合でこのような状態に苦しんでいる人たちがいるということになります。
精神疾患というと何か特別なことのように感じられますが、日々の生活に支障をきたすほどの重症度のうつ病にいたる前の、もっと軽度の状態でのケアが本当に大切であると感じられます。

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DSM-IV-TR

DSM-IV-TR(精神疾患の診断・統計マニュアル)は、米国精神医学会(APA)が作成した精神病の診断基準です。それによると、大うつ病は次のように定義されています:
「大うつ病エピソード(Major Depressive Episode)
A.以下の症状のうち 5 つ (またはそれ以上) が同じ 2 週間の間に存在し、病前の機能からの変化を起こしている。これらの症状のうち少なくとも 1 つは、(1) 抑うつ気分または (2) 興味または喜びの喪失である。
注:明らかに、一般身体疾患、または気分に一致しない妄想または幻覚による症状は含まない。
その人自身の言明 (例:悲しみまたは、空虚感を感じる) か、他者の観察 (例:涙を流しているように見える) によって示される、ほとんど1日中、ほとんど毎日の抑うつ気分。
注:小児や青年ではいらだたしい気分もありうる。
ほとんど 1 日中、ほとんど毎日の、すべて、またはほとんどすべての活動における興味、喜びの著しい減退 (その人の言明、または他者の観察によって示される)。
食事療法をしていないのに、著しい体重減少、あるいは体重増加 (例:1 カ月で体重の 5%以上の変化)、またはほとんど毎日の、食欲の減退または増加。
注:小児の場合、期待される体重増加が見られないことも考慮せよ。
ほとんど毎日の不眠または睡眠過多。
ほとんど毎日の精神運動性の焦燥または制止 (他者によって観察可能で、ただ単に落ち着きがないとか、のろくなったという主観的感覚ではないもの)。
ほとんど毎日の易疲労性、または気力の減退。
ほとんど毎日の無価値観、または過剰であるか不適切な罪責感 (妄想的であることもある。単に自分をとがめたり、病気になったことに対する罪の意識ではない)。
思考力や集中力の減退、または決断困難がほとんど毎日認められる (その人自信の言明による、または、他者によって観察される)。
死についての反復思考 (死の恐怖だけではない)、特別な計画はないが反復的な自殺念慮、自殺企図、または自殺するためのはっきりとした計画。
B.症状は混合性エピソードの基準を満たさない。
C.症状は、臨床的に著しい苦痛、または、社会的、職業的、または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている。
D.症状は、物質 (例:乱用薬物、投薬) の直接的な生理学的作用、または一般身体疾患 (例:甲状腺機能低下症) によるものではない。
E.症状は死別反応ではうまく説明されない。すなわち、愛する者を失った後、症状が 2ヵ月を超えて続くか、または、著明な機能不全、無価値観への病的なとらわれ、自殺念慮、精神病性の症状、精神運動抑止があることで特徴づけられる。」
【出典】
American Psychiatric Association:Diagnostic and statistical manual of mental disorders 4th edition,Text Revision,2000 (高橋三郎、大野裕、染矢俊幸(訳):DSM-IV-TR 精神疾患の分類と診断の手引,医学書院,2002)

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子どものうつ病

DSM-IV-TR(精神疾患の分類と診断の手引き)によるうつ病の有病率は、ある時点で過去一ヶ月以内にうつ病と診断できる状態にあった一般人口の平均的結果としては約2.8パーセントとされています。(1.0パーセント~4.9パーセント)。また、生涯にわたってうつ病にかかる可能性については、15パーセントとも言われています。日本の調査によっても、面接調査によると、時点有病率は2パーセント、生涯有病率は6.5パーセントといわれています。
働き盛りの年代のうつ病の発症も問題ですが、社会的に注目すべきは子どものうつ病かもしれません。児童期、つまり12歳未満のうつ病有病率は、0.5パーセント~2.5パーセント、さらに、思春期以降の12歳~17歳では、2.0パーセント~8.0パーセントといわれています。子どもの場合、特にうつ病が軽症度の場合、いらいらしたり、少々落ち込んでいるように見えたりするだけで、うつ病の体験を言語化しないことがよくあります。実際、発達段階によっては、言語化できないこともあります。したがって、「頭が痛い」、「おなかが痛い」といった身体症状として訴えたり、不登校などの行動面での変化として現れることがよくあります。
子どもの場合、自分で症状を訴えることも困難であるだけでなく、自分で病院にかかることはさらに困難です。周囲の大人たちが子どもの行動の変化や、ちょっとした身体的な症状の訴えにもきちんと耳を傾ける姿勢が、うつ病・うつ症状を重症化させないうえで大切ではないでしょうか。

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うつ病の身体的症状

アメリカの操作的診断基準である、DSM-IV-TR(精神疾患の分類と診断の手引き)によると、うつ病と診断されるために必須とされる精神的な症状として、「抑うつ気分」と「興味・喜びの喪失」の二つを挙げています。うつ病は心の病とされますが、実際、うつ病の場合、このような精神症状に加えて「身体的な症状」も見られます。たとえば、食欲、体重、睡眠、身体的活動性の4つの領域で、顕著な減少または増加が生じることがあります。「食欲がなく体重も減り、眠れなくて、いらいらしてじっとしていられない」あるいは逆に「変に食欲が出て食べ過ぎになり、いつも眠たくて寝てばかりいて、体を動かせない」という訴えとして現れます。
DSM-IV-TR(精神疾患の分類と診断の手引き)では、先の主な2つの精神症状のいずれかひとつと、これらの身体的症状4つのあわせて5つの症状が「死別反応以外のもので、2週間以上にわたり毎日続き、生活の機能障害を呈している」ことが、大うつ病の診断の条件としています。うつ病とまではいかないまでも、うつ状態は比較的多く見受けられますが、そのような状態がある程度の重症度を呈すると、うつ病および大うつ病という診断になるのです。
ただ、DSM-IV-TR(精神疾患の分類と診断の手引き)の症状のみで判断するのは、客観的で、研究には適しているといえますが、臨床場面では、心理的誘引の評価も不可欠です。むしろこちらのほうが治療的には重要な判断となるといわれています。

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うつ病の症状

DSM-IV-TR(精神疾患の分類と診断の手引き)によると、うつ病の主要症状として次の二つが挙げられています。
●「抑うつ気分」
●「興味・喜びの喪失」
「抑うつ気分」というのは、気分が落ち込み、何をしても心が晴れない嫌な気分を言います。また空虚感や悲しみなどもさします。「抑うつ気分」によく似た症状として、「自分には何の価値もないと感じる無価値感」や、「自殺念慮・希死念慮」があります。これらの症状をまとめると、「気分が落ち込んで嫌な毎日であり、自分には存在している価値などなく、死にたいと思う」という訴えとなります。
一方、「興味・喜びの喪失」とは、発病前までは楽しむことができていたことに楽しみを見出すことができなくなってしまう、感情が麻痺した状態をいいます。「興味・喜びの喪失」に似た症状には、「気分の低下と易疲労性」および「集中力・思考力・決断力の低下」という状態があります。これらの症状をまとめると、「何をしても面白くなく、物事にとりかかる気力がなくなり、何もしていないのに疲れてしまい、考えがまとまらず小さな物事さえも決断できない」という訴えになります。
うつ病と診断されるためには、これら2つの主要症状のうち、いずれかが見られることが必須とされます。また、これらの主要症状、および症状グループといった精神症状に加えて、「身体的な症状」もあります。食欲、体重、睡眠、身体的活動性の4つの領域で、顕著な減少または増加が生じるというものです。

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